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皆で植栽苗の枯死の原因を考えませんか?
失敗からも必ず多くを学べます!

ハイトカルチャ流 
「枯死原因調査方法(抄)」

1.ツリーシェルターは万能ではない
植栽木の活着・生育を助けるのがツリーシェルター(以下、TS)です。
これは、TS開発当初から変わらない技術の特徴であり、
開発元となるイギリスでも同じです。

しかしながら、枯死した現場が多数存在しているのも事実であり、
それはTSが万能では無いことを図らずも示しています。
問題は、TSが枯死の原因かどうかです。
2.枯死の原因にされ易いツリーシェルター
枯死苗にTSが被っていると、TSに原因をもとめられる傾向にあります。
「蒸れて枯れた」「暑くて枯れた」
当初は、どうしてそんなに単純に物事を考えるのだろう?と
腹立たしく思っていました。
HP開設当時の書き込みを見ると、自分で書いて言うのもなんですが、
怒りに満ちています。
今では、それも仕方が無いかなと冷静に思えるようになりました。
3.先生直伝 「枯死現場の調査方法」
@「全て公平に、冷静に、良く観察すること
私が枯死の現場を調査するときは、
原因をきめつけて調査することはありません。
これは、当社の赤井先生、故本城先生をはじめ、
会社にいた、諸先輩に学んだことですが、
全て公平に、冷静に、良く観察すること」から始めます。
つまり、
TSが枯死の原因であることも同様に考慮に入れて調査しろと言う事です。
A「傾向があれば必ず掴む事」
これも先達に学んだ観察法の一つです。
枯死は事業地全般で発生しているのか、尾根筋に発生しているのか、
谷筋に発生しているのか?
斜面下部に発生しているか、上部に多いのか?・・・etc.
一部を観察するのではなく、
できるだけ広く観察し、枯死の傾向を掴めと言うことです。
傾向がつかめたらしめたもの、解決までもう少しです。
B「植えた樹種が適しているか判断すること
スギ、ヒノキ、マツ、
これら植栽される数が最も多い代表樹種の適地に関しては、
この仕事について真っ先に覚えさせられました。
これを知らずに、この仕事についてはならないと言うことだそうです。
マツ、ヒノキは痩せ地、スギは肥沃地によく見られると言った、
入社当初の私には、とても漠然とした教えで、
最初は正直意味がわかりませんでした(笑)。
理解できるようになったのは、数ヶ月後のことです。

例えば、ヒノキの大半が枯れ、もしくは弱っていたとします。
そこが、谷筋であるなど水分条件が良い場所だったりするのが解ると、
ヒノキに適していない場所であると判断できます。
マツもこのような場所には不向きですね。

その土地の土壌水分条件が、植えた樹種に適しているかどうかを判断せよと言うことです。
(根の要酸素量に大きく関係しています)
C「植えた樹種別の根の要酸素量を理解すること
Bの続きになるのですが、
根も呼吸しています。当たり前の事ですが、このことは、植栽の成否に大きく関係すると教えられました。

マツの根は要酸素量が多い。
ヒノキの根も要酸素量が多い。
スギの根は、比して要酸素量が少ない。
これだけです・・・。

何だと思う無かれ、
Bの土壌内水分条件ごとの適・不適と関連があります。
水分条件が良い土壌は酸素量が少なく、
「マツ」「ヒノキ」には適さないことになることがわかります。
逆に水分条件が悪い土壌は酸素量が多いが、
水分をより必要とする「スギ」にはあまり適さないと言えます。
D「造成地など盛土植栽地には注意すること
このような場所は、一般に重機で踏み固められた箇所が多く、
水の浸透が困難な土壌条件である場合が多い。
雨が降ったら水がたまり、雨が止んだらからからに渇く。
土壌内も酸素を含むスペースがほとんど無い劣悪な条件では、
「植え穴を大きく掘る」、「植え穴内部の土を十分にほぐす」、「客土する」、「排水溝」を切るなど、
適切な植栽基盤を施さない限り、成長の見込みは無いようです。
粘土質土壌も、同じ類いですね。
E「必ず枯死した苗木を掘り取り、苗木の状態、植え方をチェックすること
故本城先生は必ず苗木を引き抜き状態をチェックされていました。
「かつては必ず納品時にチェックしたものだけど、今はそうでもないから」
と言っておられました。
スギ、ヒノキなどの需給調整苗でひどいものは余り見かけませんでしたが、
広葉樹のポット苗になると非常に酷いものが多く見られました。
樹高1m以上のポット苗(2年生以上)になると、酷い苗の確率が上がりました。
まじめに作ると、ポットサイズも大きくするなど、
樹高に対するポット内の根の量を充実させるのですが、
いかんせん、路地栽培した苗の根をカットしたあと、
ポットに入れて養生する間なく出荷したケースを良く見かけました。
広葉樹ポット苗の枯死もしくは枯れ下がりの多くはこれが原因かも・・・

苗木を引き抜くことで植え方もチェックできます。
とは言え、チェックするのは、深いか浅いかだけですが・・・。

土壌深く植えると言う事は、単純に酸素量が減ることに繋がります。
根の要酸素量が多い樹種を深く植えると、根が窒息する可能性が高まります。
勿論、通気の良い土壌の場合は、深く植えても酸素量が確保されており、
問題が起こらないことも多くあるので、
深いから駄目と言う訳ではありません。
同様に浅いから全て良いと言うわけでもありません。
適地適木が基本ですが、山主の意向などそうはいかない場合も多々あり、
その場合、浅く植えたり、深く植えたり、場所の土壌条件を踏まえ、
樹種の特徴に応じた植え方を検討する必要があるようです。
F「光条件を確認すること
この10年間、森林保全の観点からか、保安林改良事業においては、
植栽にあたり皆伐するのではなく、複層林施業と言って、
わずか抜き切りした後植えるケースが多くありました。
今では少なくなったと期待したいのですが・・・。
(設計当事者ではないので、
表現・事業の理念が正しいのかどうかはわかりません)
30%伐って、30%植えると言った感じです。
このような現場で赤井先生の調査にお供したときです。
準備が良いのか、先生はカバンからミノルタ製の照度計を取り出し、
「これは酷い、光が少なすぎる」と一言でした・・・
「いいか、たとえヒノキの耐陰性が高いからって、育たないのは当たり前」
「例え、当初光があるように感じても、この程度の抜き切り率じゃあ、
僅かの期間で閉鎖してしまうんや」
見たらわかる暗さだったのですが、
わざわざ照度計を取り出して光量を測って数値化したのは、
先生が学者たる所以なのでしょう。
わたしなら、その場で決め付けてしまうところです・・・
G「TSの欠点を知ること
中が暑すぎて枯れるかどうかと言う議論は、
開発当初、社内に存在した議論でした。
私なども、駆け出しの営業マンだった頃、
お客さんの現場で枯れた箇所を見たりした時、
しょうもない商品なのではないかと不安に思ったものです。
その不安も、先に述べた観察法を修得するに従い、
そして、年を経るにつれ増える良い現場を確認するに従い、
無くなりました。

TS内の温度は、当社調べでは外気温に比して夏場+5℃と出ています。
アフリカのギニアで計った結果も同様のものでした。
府立大の先生の調査でもさほど違いは無いと言う結果が出ています。
しかし、鳥取の林業試験場の方が計られた結果だと20℃くらい違う
と言う正反対の報告が成されており、
その温度差が活着差に影響を与えていると言う報告がなされていますので、
一概に我々が正しいとも言い難いところがあるのも事実です。

一ついえるのは、夏場TS内の樹木の生長が止まっているのは事実だと研究員から報告を受けました。
その意味で、夏場の成長を確保するためにも、
外気とTS内の温度を一定にするため、
穴をあけるのも一考であると言うことです。

逆に、冬の温度は+10℃外気温より高いと言うデータが出ています。
これは、生長期間が長いと言うメリットもありますが、
凍霜害を受け易いと言うデメリットもあります。
春は早く伸び始め、秋は遅くまで伸びていると言うことです。
言い換えると
「耐棟性の解除が早く」「耐棟性の獲得が遅い」と言うことです。
早霜、遅霜を受ける危険性が高いと言うことを示しています。

その意味でも、
穴をあけて外気とTS内の温度を一定にするのも一考であると、
研究員から報告を受けています。

だからと言って、「それが原因だろう」と言われても困るのですが・・・
H「知識は個別に使うのではなく、融合させること
@〜Gまで教わり、後は現場の観察を重ねることで、
現場ごとの枯死の原因がわかるようになってきました。

故本城先生からは良く次のように言われました。
覚えたての知識を一つ使って、これが枯死の原因ですか?と問うた時です。
「一つの知識を使って原因を求めようとしても、無駄。
知識が全く役に立っていない。
現場でどのような傾向があり、どのように植えられて、
どのように枯れているか、
全ての観察を行って、全ての知識を融合させ判断すること。
そうすれば正解に近づける」と・・・
4.終わらない勉強
幸いなことに私は本当に良き師匠の方々に恵まれたと思っています。

まだ教えられたことはあります。

土を握って土壌水分量を肌で感じろ、

これはできる・・・

土の匂いを嗅いでカビの繁茂状況を知れ、
土を舐めて味を確かめろ・・・

さすがに、そこまでは・・・

まだまだ三流たる所以です・・・。