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海岸植栽試験報告・・・京都府丹後町砂方

京都府丹後町で行なった海岸植栽試験。
条件は厳しく、海岸植栽におけるヘキサチューブの有効性を検証するには最適な現場。
2001年5月29日撮影
(植栽1年後)
  2003年7月11日撮影


現場地名 京都府丹後町砂方
マップ
植栽年月日 2000年4月11日、12日
植栽樹種 クロマツ
試験地設定までの経緯 かつてクロマツがあった場所。
マツクイの被害にあいクロマツが消滅。
地元の要請により、マツ林の復活を府が試みるが出来なかった。
府の試験要請が当社の本城先生(元京都府立大学助教授)にあり試験地を設定。
試験地の状況 試験地A:海から10m離れた岩石地。植生はマンネングサのみ。
  冬場は波しぶきがまともにかかる。
  岩石地であり土が無い
試験地B:Aよりも陸側で、海から30m離れた笹覆地。
  冬場の季節風は厳しい。
  波しぶきは多少かかる
  夏場は1.2m以上になった笹が全面を覆う
 
当地の植栽が困難である理由 試験地A:@土壌が無い
     A
冬場波しぶきをまともに受ける
     B
風がきつい
試験地B:@
風がきつい
     A
潮風
     B
一面を覆う笹による苗木の被圧


海側試験区経過観察
2000年3月試験地設定

土壌の無い岩石地。汀線から10m程度の距離。
客土したうえでクロマツを植栽。
ヘキサチューブ設置区と対照区を設ける。
写真に見られる柵は、過去に府が植栽した際に設置したもの(高さ1m程度のもの)
土壌が無く、冬場には波しぶきをまともに受けることが予想され、
マツの活着・生育にとって非常に厳しい環境であることが予想された。
2001年5月19日撮影

植栽から1年経過。
植栽したクロマツは、ヘキサチューブ設置区と対照区とで、その活着に大きな差が出ていた。
ヘキサチューブ設置区の枯死が僅か1本であったのに対し、対照区のクロマツは全滅した。
対照区の枯死の原因は以下の通り。
  
・波しぶきをまともにかぶったこと(細胞組織の破壊)
  ・風がきつく、強制的に水分を奪われたこと(強制蒸散)
  ・風がきつく、根がゆすられて定着できなかったこと

ヘキサチューブ設置区は活着が良かっただけでなく、
平均樹高も123pに達し、植栽から1年で47pの成長を見せた。
試験区概要 ヘキサチューブを設置したマツの成長量
枯死した対照木 根がゆすられた対照木の状況
2002年4月18日撮影

植栽から2年経過。
チューブから出た箇所が波しぶきをかぶり、枯れ下がっている。
去年出た芽は中身が抜け、かすかすになっている。
枯れ下がってはいるものの、完全に枯死したものは無い。
チューブ内で新しい芽を形成。
今後しばらくの間、潮の耐性がつくまで、
マツは芽の形成と枯れ下がりを繰り返すと予想される。
試験区概要 チューブから出た箇所が茶色に変色している
先端が枯れ下がった様子 チューブ内で新しい芽を形成
その後の経過

その後、3度にわたり観察を行なう。
予想通り成長と枯れ下がりを繰り返している。
2003年12月10日には、葉の表面やチューブに付着した大量の塩の結晶を観察した。
2002年11月21日撮影
成長
2003年4月22日
枯れ下がり
2003年7月11日
成長
2003年12月10日
マツの葉に付着した塩の結晶
 
2003年12月10日
付着した塩の結晶
2003年12月10日
枯れ下がり
報告

ここまでの経過から明らかになったことは以下の通り。
  ・当試験区では、ヘキサチューブの保護なしに活着できた個体はなかった。
  ・ヘキサチューブで保護したクロマツは厳しい条件にも関わらずほぼ100%の活着率を示した。
  ・チューブから出た箇所が冬に波しぶきをあび枯れ下がっている。

当試験区のように過酷な環境下での植栽について、ヘキサチューブは非常に有効なのは明らかである。
(対照区と設置区とでは0%と100%の違いがある!!)
先端部での成長と枯れ下がりの繰り返しは、まともに波しぶきを受けている現状仕方がないことであるが、
今後、潮に対する耐性を獲得し、クロマツが成長をはじめることも十分考えられる。
当試験区については、長期の観察が必要である。


陸側試験区経過観察
2000年3月試験地設定

土壌の無い岩石地。汀線から30m程度の距離。
クロマツを植栽。
ヘキサチューブ設置区と対照区を設ける。
写真に見られる柵は、過去に府が植栽した際に設置したもの(高さ1m程度のもの)
笹覆い地。
波しぶきの影響は軽微。
2001年5月19日撮影

植栽から1年経過。
ヘキサチューブ設置区は15本中1本が枯死した。対照区のクロマツは14本中3本が枯死していた。
ヘキサチューブ設置区の平均樹高は153p。植栽から1年で71pの成長。
対照区の平均樹高は75p。こちらは僅か9pの成長。
試験区概要1 試験区概要2
2002年4月18日撮影

植栽から2年経過。
ヘキサチューブ設置区ではその後枯死した個体は無い。
マツの葉は、冬場の潮風のためか赤くなって枯れているが、芽は生きている。
平均樹高は176p。
対照区は更に1本が枯死し、これで14本中4本が枯死したことになる。
平均樹高は88p。この段階でヘキサチューブ設置区との樹高の差は90p。
試験区概要 葉は枯れているが芽は生きている
対照区のクロマツ チューブの間にそれぞれ対照のマツが植えられている
2002年11月21日撮影

ヘキサチューブ設置区ではその後枯死した個体は無い。
クロマツはこの半年間で更に成長。
平均樹高は210pに達していた。
対照区は更に4本が枯死しており、これで14本中8本が枯死した。
平均樹高は127p。ようやく成長らしい成長を見せた。

対照区について、生存したものは、柵に近い場所に植栽されたものに限られており、柵から離れた場所は枯死していた。
柵の植栽木に対する効果は非常に狭い範囲に限定されている。
試験区概要
2003年7月11日撮影
試験区概要
1本赤くなっていたが・・・
笹に覆われているが問題なし
2003年12月10日撮影

ヘキサチューブ設置区ではその後枯死した個体が1本。
しかし営業マンが目撃した赤くなった1本は問題無かったようだ。
平均樹高は250pに達していた。
対照区はその後枯死無し。
平均樹高は156p。ヘキサチューブ設置区との樹高差は埋まらない。

写真では下刈がされていた・・・。
不必要だと思われたが?
研究員に質問すると、調査の為、府の方で下刈を行なったのではとの返事でした。
試験区概要 耐候性マツか何かの試験でしょうか?
風にあおられてかなり痛んでました
立派に幹も太っています1 立派に幹も太っています2
         
試験区外の様子
柵の周囲しかマツが生存していない
中央部は全滅・・・
   
報告

ここまでの経過から明らかになったことは以下の通り。
  ・チューブ設置区と対照区とで活着率に大きな差が出た
       ヘキサチューブ設置区クロマツ生存数   13/15
       対照区クロマツ生存数           6/14
  ・対照区の残存木はかつて施工された柵の周囲に限られていた
    ・柵の有効範囲が狭いこともこの試験でわかった
    ・チューブ設置区については、柵から遠い・近いに関わらず活着した
  ・チューブ設置区と対照区とで成長に大きな差があった
    ・試験地設定から2003年12月10までの観察で、
       ヘキサチューブ設置区平均樹高 250p  植栽時平均樹高  82p 観察期間成長量 168p
       対照区平均樹高        156p  植栽時平均樹高  67p  観察期間成長量 89p
     と言う結果になった

ヘキサチューブは海岸植栽における植栽木の活着に非常に有効であることがこの試験区の結果からわかった。

対照区も柵に近い場所では高い活着率を示していたが、柵の有効範囲は非常に狭く、柵で植生を保護するためには
小さな面積をこまめに囲む必要があり、その設置費用は莫大なものになることが容易に想像できる。

また当地のような笹覆い地においては、笹の被圧による生育不良も十分考えられる。
ヘキサチューブ設置区のクロマツの成長は非常によく、下刈は不要であると判断できる。
対照区については、下刈は欠かせない(調査のため、運良く下刈が行なわれていたので成長できた)

ヘキサチューブの海岸植栽への活用については、以下のメリットを強調しておきたい

@確実な活着
A早期樹林化
Bコストの縮減

植栽密度の50%以上減
下刈等の管理費削減
柵不要


試験データ集
海側試験データ

海側試験区配置図

海側試験区 クロマツ残存率比較表

海側試験区 樹高成長比較表


陸側試験データ

陸側試験区配置図

陸側試験区 クロマツ残存率比較表

陸側試験区 クロマツ 残存・枯死分布図

陸側試験区 クロマツ 樹高成長比較表

陸側試験区 実生クロマツ樹高成長比較表